マーガリンMargarins〜 私達の食材探究 〜
実態調査(アンケート)や市場調査を通して生活の中での私達とマーガリンとの関わりについて見直すと共に、歴史・成分・特徴の面から正しく理解し上手に生活の中に取り入れる工夫をしてバランスの取れた食生活を目指していきたいと思います。
実態調査
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1.アンケート調査
本校、調理科と家庭総合を履修している生徒552人に実施しました。
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(1)
バターとマーガリンどちらが好きですか?
バター54%、マーガリン39% -
(2)
バターとマーガリンの違いについて
知っている33%、知らない66%
・知っていると答えた人の回答例1) 植物性・動物性の違い 2)料理用・パン用の違い 3) 塩分量の違いなど -
(3)
家でどちらを使っていますか?
バター47%、マーガリン37%、両方11%
・マーガリンと答えた人の使い道1)油の代用 2)パンに塗る 3)お菓子作り
* 次の(4)(5)(6)の質問は、(3)でマーガリンを使っていると答えた人だけに実施。
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(4)
家で使っているマーガリンのメーカーは?
A製品42%、B製品28%、その他30% -
(5)
マーガリンを買うときに重視する事は?
値段25%、成分21%、メーカー5% -
(6)
マーガリンの使用回数は週何回ですか?
1回33%、3回以上22%、毎回15% -
(7)
マーガリンとバターどちらが健康的?
マーガリン51%、バター34% -
(8)
お菓子を作る時、どちらを使いますか?
バター69%、マーガリン13% -
(9)
マーガリンは元々バターの代用品として作られたことを知っていますか?
知らない77%、知っている19% -
(10)
自分でマーガリンを作れる事を知ってる?
知らない77%、知っている18%
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(1)
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2.市場調査
調査企業;校区内の大手企業8社
調査日時;平成19年5月3日~16日
調査内容;-
(1)
マーガリンの種類
店舗によって販売数に差があるが、平均すると約15種類の商品 -
(2)
価格
125~585円が相場。 -
(3)
店頭に並んでいるバターとマーガリンの割合
マーガリンが圧倒的に多い。 -
(4)
年間を通して、マーガリンの売り上げに変化はあるか?
ほとんど変化はないが、夏のバーベキューシーズンやクリスマス、バレンタインシーズンには売り上げが伸びる。 -
(5)
国内産と輸入品の割合
国内産が多い。 -
(6)
店頭に並んでいたマーガリンを私達なりに分類してみる。
・企業ブランドマーガリン(一つの会社から、複数の製品を出す。)
・おいしさPLUSマーガリン(普通のマーガリンに味や風味をプラスする。)
・健康マーガリン(脂肪分やコレステロールを調整。)
・特保マーガリン(厚生労働省許可製品。) -
(7)
市場調査のまとめ
・調査に行く前はバターのほうが多いと思っていたが、マーガリンの方が種類も品数も豊富だった事に驚いた。
・バターに比べ、マーガリンは値段が安い事が分かった。しかし、マーガリンは値段の差が激しい。
・健康を意識して作られているマーガリンが多くなっている。
・マーガリンのパッケージに黄色を採用している企業が多い。
・あらゆる商品にマーガリンが使用されているが、特に冷凍食品に多く見られる。
研究活動
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1.マーガリンについての研究
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(1)
マーガリンの歴史
19世紀末。当時生活必需品であったバターが欠乏していたので、フランスのナポレオン3世がバターの安価な代用品を求めて募集を行った。この募集で採用されたのが、フランス人のムーリエが発明したマーガリンであった。マーガリンという言葉はギリシャ語のMargarite(真珠の意)に由来しており、「真珠のように美しく輝く油のかたまり」という意味だった。誕生当時はあくまで代用品でしたが、「マーガリンの方が健康に良い」と注目され、風味も向上したことから普及していく。 -
(2)
日本におけるマーガリン
日本には明治中期に日本に住む欧米人達の為に輸入されたが、後に「人造バター」として国内でも作られるようになり、昭和27年からはマーガリンとして販売されるようになった。 -
(3)
成分
マーガリンとは、精製した油脂に発酵乳・食塩・ビタミン類などを加えて乳化し、練り合わせた加工食品。日本ではJAS規格により、油脂含有率が80%を超えるものがマーガリン、80%未満がファットスプレッドと分類されている。マーガリンには、バターにない温度変化に対する安定性があり、バターに比べ、ナトリウム・コレステロールが低くなっている。 植物性油脂から作られるマーガリンは、健康に良いというイメージが持たれていたが、近年では逆に、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸の問題が指摘されている。厚生労働省は「欧米との食習慣の違い」から、日本の食生活では油脂摂取量が相対的に少ないとし、現時点での規制は行われていません。
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(1)
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2.マーガリンを利用したお菓子作り
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(1)
ちんすこう試作
沖縄の伝統的お菓子であるちんすこうにラードの代わりにマーガリンを利用して分量別実習を行いました。マーガリンとラードの割合は[1:2]、[1:1]、[2:1]、[マーガリンのみ]
評価
[1:2]のちんすこうが圧倒的に良い。逆に[マーガリンのみ]で作ったちんすこうは、「やわらかい」「脂っこい」などの意見が多い。この実習で、マーガリンで作ったちんすこうは、さくさく感が得られないことがわかりました。 -
(2)
お菓子作りコンテスト
テーマを「焼き菓子」と設定し、8つのグループで何度も試作をし、味は勿論のこと香りや見た目などにも工夫をこらしてきました。
コンテスト当日は、マフィン、サブレ、クッキーなどのオリジナルレシピで、沖縄の食材として代表的なゴーヤー、紅イモ、シークワーサーを使って彩り豊かなハイレベルなコンテストとなりました。先生方十数名に官能検査をお願いしたところ「全体的に仕上がりが良く、真剣に取り組んでいる姿勢が良い。」「味だけでなく色や見た目に工夫がされていて、すぐにでも商品化できそう。」「味は良いけど飾り付けに工夫が必要。」など、とても丁寧なアドバイスを頂く事が出来ました。
結果は1位、紅イモを使った「紅ヘルクッキー」、2位、シークワーサーやハイビスカスティーを使った「サブレ」、3位、紅イモ生地と黒糖生地、プレーン生地の3層からなる「琉球パウンド」となりました。
普及活動
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1.保育園児に試食
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(1)
★てだこ保育園★(11月5日実施)
園児達に、マーガリンについての話などをしながら試食してもらった。
反応は「美味しいー!」「サクサクー!!」と好評だった。 -
(2)
★平和学園★(11月5日実施)
園児が120名、先生方が6名という事で約150個、好き嫌いを考えてプレーン味を提供。余ったサブレも食べたいと言う程大人気で、先生方からも「食べやすい」、「カロリーも程良くあるので良い」などの意見を頂きました。
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(1)
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2.全国産業フェアー(11月23・24日)
沖縄コンベンションセンターにて全国産業フェアーが開催され調理科では「チキンまきまきカレーセット」を販売し、それに校内コンテストで賞を受賞した「サブレ」と「紅ヘルクッキー」を試食として提供しました。前日には500食分をラッピングして準備をしました。結果は好評で幼児から年配の方まで「おいしい」と喜んでもらえました。
又、展示の部では研究の内容をパネルにして展示し、コンテストのレシピ、作品を紹介。
又、レシピを配布(200部)して好評でした。
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3.その他の活動
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(1)
学校のホームページに掲載
調理科のページに研究の概要を掲載 -
(2)
保護者対象の学習発表会で、コンテストのレシピを配布
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(1)
まとめ
・アンケートによりバターとマーガリンの違いについてあまり意識することなく利用している人が多いがマーガリンの方がバターより健康的だと思っている人が多い、又対象の半数の人がマーガリンを日頃利用し私たちの生活の中で身近な存在であることが分かった。
・マーガリンの歴史や成分を調べる事でマーガリンの長所、短所を知ることが出来た。
・「ちんすこう作り」や「コンテスト」の実習を通してマーガリンの風味を生かすと料理の幅が広がる、お菓子作りではバターに比べて軽く仕上がる。経済的等の長所に気づくことが出来た。
・普及活動では、保育園訪問、全国産業教育フェアーでの試食で「サブレ」を提供し好評を得た。展示部門では研究活動を紹介しマーガリンについてたくさんの人に知ってもらうことが出来た。