マーガリンの特徴を利用して〜 もったいない精神で・自家製天然酵母さつまっ古パン 〜
朝食にご飯と同じく人気が高いパン。身の回りにある食材に注目し、加工して新しい料理に活かす試みをしつつ、自然発酵させる天然酵母パンを研究しながらそれに加える「マーガリンの特徴」を考察していきたいと考えました。
実態調査
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1.事前のアンケート調査
研究の基礎となる資料収集のため、全校生徒にアンケートを実施しました。
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(1)
朝食は毎日食べますか?という質問では、朝食を毎日摂る人が82%、ほぼ毎日摂る人が12%、全く摂らない人が1%でした。よって、本校では、朝食をしっかり摂って登校していました。
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(2)
朝食の食事スタイルはどうのようになっていますか?という質問では、主食・おかず・飲み物の組み合わせが44%、主食・飲み物が19%、主食・おかずが18%でした。三角食べが4割を占める結果となりました。
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(3)
朝食にはどのような食品を摂っていますか?という質問では、主食には、ご飯が85%、パンが62%、おかずには肉・魚が46%、飲み物にはお茶が35%でした。主食はご飯が中心でしたが、パンも人気がありました。
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(1)
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2.服部幸應 先生の講演会“食育のすすめ”
鹿児島県文化センターに行き、服部先生の講演を聞きました。「選食力」「食事作法」「環境」の問題について勉強しました。
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3.日本の食卓・食生活についての文献調査
問題点の把握
調査や学習などから、次のような問題点がわかりました。-
(1)
現代の食事は偏りが大きいので、材料の特徴をよく知り、バランスのよい食事にする必要がある。
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(2)
日本は飽食・崩食の時代である。
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(3)
食事の欧米化により、和食から洋食に変わってきている。
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(4)
食事を通しての家族のふれあいが少なくなっている。
以上の事から私たちは次の点を研究の柱としました。
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(1)
マーガリンの栄養面の特徴や調理性、経済性を利用して、偏りのない食生活を提案する。
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(2)
もったいない精神を基本にして、材料はできるだけ身の回りにあるものを利用する。
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(3)
天然酵母を自分たちで取り出して、パンを焼く。
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(4)
幼稚園児に食事の楽しさや大切さを伝える。
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(1)
研究活動
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1.天然酵母のパン屋さん取材
材料の米粉や天然酵母について理解を深め、味や噛みごたえについて研究しました。
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2.マーガリンの研究
ビデオ『マーガリン』を観て、マーガリンの由来、原料と製造方法、種類と栄養学、マーガリンの上手な使い方について知識を得ました。
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3.文献調査
『日本マーガリン工業史』を参考にして次のことを知りました。
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(1)
マーガリンは民間人の工業製品である。
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(2)
最初のマーガリンは、魚や鯨の油を利用していたが、臭いがして固まらないので、油脂を精製・硬化・脱臭して食品にした。
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(3)
米の過剰摂取対策として、米の一部を高カロリーの植物油で代替する方法を考案した。そして「1日1度はマーガリン」運動が始まった。
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(1)
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4.パンについての研究
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(1)
天然酵母づくり
王林・ふじ・ジョナゴールドの3種のりんごを用いて、さまざまな条件下でどのりんごの天然酵母が活発かを研究しました。 -
(2)
材料
自家製古々々米を寒ざらしにして、製粉しました。 -
(3)
マーガリンの配合による比較
マーガリンの配合を考えて、パンに与える影響を調べました。作るときの混ぜやすさ、焼いた後の、味、香り、色、やわらかさについて検討比較しました。 -
(4)
鹿児島の特産品(さつまいも)を利用したフィリングづくり
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規格外のさつまいも収穫
知覧町のさつまいも農家加治佐さんの畑に規格外のさつまいもを収穫に行き、紅さつま・種子島紫ロマン・ハヤト芋・種子島紫ゴールドを掘ってきました。 -
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さつまいもあん試作
調理手芸部の協力により、豆乳入りさつまいもあんを試作しました。試食の結果、人気があったのが豆乳入りのあんでした。色、香り、固さともにおいしいと評判でした。 -
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さつまいもペースト作り
規格外のさつまいもを蒸してつぶしました。蒸すと水分が残り、あんにするとき簡単でした。 -
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鹿児島県の郷土料理についての研究
パンに合う献立として、スープを考えました。材料には地元の野菜を使い、マーガリンを活かして、栄養価を高めようと考えました。鹿児島の郷土料理として鶏飯がありますが、その鶏ガラスープに材料を加えて、郷土料理とのコラボレーションを試みました。
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(1)
普及活動
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1.校内活動
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(1)
一年生がビデオ『マーガリン』を鑑賞
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(2)
学校新聞に掲載
国分高通信に3回掲載されました。内容は研究テーマと同じ自家製天然酵母パン・親子のふれあい料理教室・NHK放映でした。 -
(3)
天然酵母パンの試食
マーガリンの配合を変えてつくった天然酵母パンを校内の先生方に試食していただき、一番おいしい配合のパンを答えてもらいました。米粉が250gのとき、マーガリンが20g入っているパンが一番人気がありました。 -
(4)
文化際展示
7月の校内文化祭で研究の様子をパネルで紹介しました。 -
(5)
絵本作り
2年生が保育の授業を利用して子ども達にもわかりやすい『マーガリン』の絵本を作りました。 -
(6)
調理実習さつまミネストローネ
1年生の調理実習で親子料理教室で作ったミネストローネスープを再現し、試食しました。
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(1)
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2.地域活動
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(1)
市役所でのパネル展示
霧島市役所の広場で研究の様子をパネルで展示し、紹介しました。 -
(2)
親子ふれあい料理教室
- 日時
- 10月22日(日)13:00~15:30
- 場所
- 国分高校調理室
- 参加者
- 国分愛の園幼稚園児とその保護者20名
- 内容
- ・自家製天然酵母パンの紹介
・さつまいもあん入りパン作り
・さつまミネストローネ作り
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(3)
「マガーリン」の手作り絵本を市立図書館に展示
2年生が作った絵本を霧島市の市立図書館に展示してもらいました。 -
(4)
新聞報道
10月25日の「南日本新聞」に親子ふれあい料理教室の様子が掲載されました。天然酵母がうまく取り出すことが出来ず当日は予定変更して、ドライイーストを用いてパン生地にしました。 -
(5)
テレビ報道
11月16日(木)のNHK鹿児島(撮ってもビデオ)のコーナーで、親子ふれあい教室の様子が放映されました。
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(1)
まとめ
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・「マーガリン」の特徴について学ぶことが出来ました。
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・地元の食材を用いて郷土料理にマーガリンを活かすことが出来ました。
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・天然酵母を取り出すことに挑戦出来ました。
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・幼稚園児に食事の楽しさ、大切さを伝えることが出来ました。
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・もったいないの精神で身の回りにある食材に注目し、加工して新しい料理に活かそうという発想が出来ました。
今後の課題
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・天然酵母を安定して取り出せるようにする。
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・マーガリンを他の料理に活かしていくようにする。