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(目的)
第1 この手引きは、食品衛生法(昭和22年法律第223号)及び農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(昭和25年法律第175号)に基づく賞味期限(定められた方法により保存した場合において、期待されるすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいう。ただし、当該期限を超えた場合であっても、これらの品質が保持されていることがあるものとする。以下同じ。)の表示に当たって、会員各社が科学的、合理的な根拠に基づいた共通的な手法と統一的な考え方をもって的確に賞味期限を設定し、表示することにより、一般消費者及び大口需要者に適正な情報を提供し、商品選択と使用の利便を図ることを目的とする。
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(保存試験の方法)
第2 製品が経時的な品質劣化により、食用に適さないと認められる時点(以下「終期」という。)を特定するための保存試験は、第1表の検査項目(○印を付したもの。)に関する定期的な分析試験により、経時的な品質劣化の状態を検査・測定することにより行うものとする。
第1表 品目別の検査項目
品目 検査項目 備考 大腸菌群 一般生菌数 かび 酸価 過酸化物価 外観 風味 マーガリン類 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ファットスプレッドを含む ショートニング ○ ○ ○ ○ 練り、未練りに共通とする 精製ラード ○ ○ ○ ○ 純製・調整に共通とする 食用硬化油 ○ ○ ○ ○ 食用分別油 ○ ○ ○ ○ 食用エステル交換油 ○ ○ ○ ○ その他 加水加工油脂 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 無水加工油脂 ○ ○ ○ ○ フライ用加工油脂 ○ ○ ○ ○ 非加熱使用加工油脂 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 加熱使用加工油脂 ○ ○ ○ ○ (注)代替容器に充填した試料を用いて保存試験を行った場合は、細菌検査(大腸菌群、一般生菌数及びかび)のデータは参考値とする。
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(終期の特定)
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第3 終期の特定は、第2表の「終期と見做すべき指標」に基づいて行うものとする。
第2表 検査項目別の終期と見做すべき指標
検査項目 終 期 と 見 做 す べ き 指 標 大腸菌群 陽性である場合 一般生菌数 製品1グラム当たり10万個を超える場合 か び 発生した場合 酸 価 3を超える場合(フライ用に使用される加工油脂にあっては1を超える場合) 過酸化物価 30を超える場合(フライ用に使用される加工油脂にあっては10を超える場合) 外 観 色調が不鮮明な場合又は組織(乳化の状態を含む。)が不良な場合 風 味 異味がある場合又は異臭がある場合 (注)高度に加工性を付与するため、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル等を使用した製品にあっては、酸価に係る終期と見做すべき指標は、この表の規定にかかわらず別に定める。
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2 定期的な分析試験の結果、検査項目のうちいずれか一の項目において終期と見做すべき指標が検出されたときは、その時点で保存試験を打ち切るものとし、当該分析試験時点の直前の分析試験時点を終期とする。
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3 分析試験により得られたデータに疑問がある場合は、予備の試料を用いて再度分析試験を行い、保存試験を継続するか又は打ち切るかを決めることができるものとする。
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4 定期的に分析試験を行う時点は、原則として第3表のとおりとする。
第3表 分析試験を行う時点
区分 品 目 終 期 と 見 做 す べ き 指 標 1回目 2回目以後 製造日から1年を経過した後 A類 マーガリン類
その他・加水加工油脂
その他・非加熱使用加工油脂製造日の直後 製造日から1ヵ月ごと 製造日から15ヵ月後及び18ヵ月後 B類 ショートニング
精製ラード
食用硬化油
食用分別油
食用エステル交換油
その他・無水加工油脂
その他・フライ用加工油脂
その他・加熱使用加工油脂製造日の直後 製造日から2ヵ月ごと 製造日から15ヵ月後及び18ヵ月後 C類 無包装のままタンクローリーで出荷のもの 製造日の直後 製造日から1ヵ月ごと(4ヵ月後の分析試験で打切る) -
5 次の各号に掲げる時点における分析試験によっても終期と見做すべき指標が検出されていないときは、その時点を終期とし、保存試験を打ち切るものとする。
- 第3表のA類又はB類に属する製品……製造日から18ヵ月を経過した時点
- 第3表のC類に属する製品……製造日から4ヵ月
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(保存試験に用いる試料)
第4 保存試験に用いる試料は、原則として容器包装の開かれていない製品とするが、1個 の重量が1キログラムを超える程度の大型の製品又は無包装のままタンクローリーで出荷する製品にあっては、200グラム程度を滅菌した蓋付きの代替容器に重点したものを試料とすることができる。ただし、代替容器に充填した試料を用いた場合の細菌検査(大腸菌群、一般生菌数及びかび)のデータは参考値とする。
2 保存試験を行う場合は、当該製品のラベル、納品書等に表示されている保存方法、保存温度等に従って試料を保存するものとする。ただし、製品の特性に従って次の各号に掲げる保存方法、保存温度等により試料を保存することができる。
- 冷蔵を要する製品……5℃の冷蔵庫(室)で保存
- 直射日光を避け、常温で保存する製品(冷暗所保存の製品)……20℃の恒温器(室) で保存
- 無包装のままタンクローリーで出荷する製品……50℃の恒温器(室)で保存
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(分析試験の方法)
第5 分析試験の方法は、第1表の検査項目ごとに別表「食用加工油脂の保存試験における分析試験法」に定めるとおりとする。
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(保存試験結果の記録)
第6 保存試験の成績は、別記様式「賞味期限設定のための保存試験成績表」に記録し、保存するものとする。
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(賞味期限の設定)
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第7 保存試験により終期が特定された場合は、次の手順により賞味期限を設定する。
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賞味期間A(製造から実際の賞味期限までの日数)の算定
〔製造日〕1+(製造日から終期までの日数×安全係数)-1=賞味期間A(日)
(注)安全係数は、目安として0.7を用いることとするが、品質のバラツキなどを考慮して、別に定めることができる。
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賞味期間B(製造日の翌日から表示する賞味期限までの月数)の算定
(賞味期間A-1)÷30=賞味期間B(月) (注)端数の日は切り捨てる。
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賞味期限の設定
〔製造日〕+賞味期間Bの月数=賞味期限
賞味期限は、一般には製造日の暦日と同じ暦日になるが、次のイ及びウの例のように製造日と同じ暦日がないときは、繰り上げるものとする。
- 〔製造日〕7.4. 5+〔賞味期間B〕6ヵ月=〔賞味期限〕7年10月5日
- 〔製造日〕7.5.31+〔賞味期間B〕6ヵ月=〔賞味期限〕7年11月30日
- 〔製造日〕7.8.31+〔賞味期限B〕6ヵ月=〔賞味期限〕8年2月29日
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賞味期間A(製造から実際の賞味期限までの日数)の算定
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(賞味期限の表示方法)
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第8 賞味期限は、次の例のいずれかにより記載する。
- 賞味期限 平成7年10月1日
- 賞味期限 7.10.1
- 賞味期限 1995.10.1
- 賞味期限 95.10.1
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2 製造から賞味期限までの期間が3ヵ月を超えるものについて、賞味期限を「年月」でもって表示する場合は、次の例のいずれかにより記載する。
- 賞味期限 平成7年9月
- 賞味期限 7.9
- 賞味期限 1995.9
- 賞味期限 95.9
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(賞味期限に関連するその他の事項の表示方法)
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第9 保存方法については、当該製品の特性に従って、つぎの記載例を参考として適切に表示するものとする。
- 冷蔵を要するもの
「5℃前後で保存すること」、「10℃以下で冷蔵すること」、「要冷蔵」(業務用の製品の場合)など
- 常温で保存するもの
「直射日光を避け、常温で保存すること」、「直射日光を避け、15~25℃で保存すること、「冷暗所で保存すること」(業務用の製品の場合)など
ただし、常温で保存するものにあっては、常温で保存する旨を省略することができる。
- 冷蔵を要するもの
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2 製造ロットの識別上必要なロット記号を表示する場合は、一括表示の枠外に記載するものとする。この場合において、賞味期限の記載箇所とロット記号の記載箇所が近接することとなるときは、両者の混同を避けるため適度の間隔を置いて表示するものとする。
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別記様式 賞味期限設定のための保存試験成績表
品 目 | 商品名 | |||
製 造 者 | ||||
品質特性 | 荷 姿 | |||
製造年月日 | 保存方法 | |||
油脂含有率 | 水分含有率 | |||
トコフェロール含有量 | トコフェロール以外に使用した酸化防止剤 | |||
塩分含有量 | ||||
脂肪酸組成 (%) |
分析試験時点 | 大腸菌群 | 一般生菌数 | か び | 酸 価 | 過酸化物価 | 外 観 | 風 味 | ||
色調 | 組織 | 味 | 臭い | ||||||
判 定 | |||||||||
保存試験 実施機関 |
別表 食用加工油脂の保存試験における分析試験法
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大腸菌群及び一般生菌数の試験法
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試料の調製
- 希釈水
- リン酸緩衝生理食塩水:リン酸二水素カリウム(無水)34gを精製水500mlに溶解した後、1N-水酸化ナトリウム溶液を約175ml加え、PH7.2に修正して精製水で全量を1,000mlとし、原液とする。この原液1.25mlを生理食塩水(塩化ナトリウム8.5gを精製水1,000mlに溶解したもの)1,000mlに加えて、121℃で15分間滅菌後、使用する。
- 器 具
- 駒込ピペット:先端の丸い特種目盛り付きのもの。
- 操 作
マーガリン類は40℃以下の湯温中で15分間以内に滅菌器具を用いてクリーム状になるまでよくこねる。そこから10gを滅菌スプーン又は滅菌駒込ピペット(先端の太いもの)で無菌的に共栓三角フラスコに取り、40℃の滅菌生理食塩水を加えて100mlとし、10倍に希釈したものを試験液とする。必要ならば同様にして100倍の希釈液を作る。
- 希釈水
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大腸菌群の測定(BGLB培養法)
- 装置、器具
- 乾熱滅菌器:180℃
- オートクレーブ:121±1℃
- ふ卵器:35~37±1℃
- 試験管:中試験管…18㎜×170㎜
小試験管…13㎜×100㎜ - ダーラム管:上記試験管にそれぞれ適用できるもの
- 培 地
- BGLB培地
- EMB培地又は遠藤培地
- 乳糖ブイヨン培地
- 標準培地
これらは、市販の粉末培地をそれぞれの処方に従って調製する。
- 希釈水
- リン酸緩衝生理食塩水:前期1.の(1)の希釈水と同じもの。
- 染色液
- ①グラム染色
- Huckerのクリスタルバイオレット液
クリスタルバイオレット原液 1ml
1%シュウ酸アンモニュウム水溶液 4ml
使用直前に混合し、使用後は捨てる。 - ルゴール液
ヨウ化カリウム 2g
ヨウ素 1g
精製水 300ml
ヨウ化カリウムを精製水に完全に溶かしてから、ヨウ素を加える。
褐色ビンに入れ密封して室温で保存。 - パイフェルの弱石炭酸フクシン液
石炭酸フクシンを精製水で10倍に薄める。
- Huckerのクリスタルバイオレット液
- ②芽胞染色
メチレンブルー原液(メチレンブルー1g/95%エタノール100ml)をフラスコに入れ、0.1%水酸化カリウム水溶液100mlを加える。棉栓をして35℃に置き、ときどき振る。次いでろ過し、褐色ビンに入れ栓をして、室温で暗所に保存する。
- ①グラム染色
- 試験操作
試験液の各1mlを5本ずつBGLB発酵管に接種し、35~37℃、48±3時間培養してガス発生の有無を確認する。
ガス発生を認めないものは、大腸菌群陰性とする。ガス発生を認めた場合は、EMB培地又は遠藤培地平板に画線塗抹し、35~37℃、24±2時間培養する。平板倍地上に定型的な大腸菌群集落を認めたときは、1個又はそれ以上を、疑わしい集落の場合には2個又はそれ以上を、乳糖ブイヨン発酵管及び普通寒天斜面に移植する。乳糖ブイヨン発酵管は35~37℃、48±3時間、寒天斜面は35~37℃、24時間培養する。乳糖ブイヨン発酵管においてガス発生を確認した場合には、これに相対する寒天斜面培養菌についてグラム染色及び芽胞染色を行い鏡検する。グラム陰性桿菌であって芽胞を認めない場合は大腸菌群陽性とする。
- 装置、器具
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一般生菌数の測定(標準寒天平板培養法)
- 装置、器具
- 乾熱滅菌器:180℃
- オートクレーブ:121±1℃
- ふ卵器:35~37±1℃
- コロニーカンター
- 培 地
- 標準寒天
- 希釈水
- リン酸緩衝生理食塩水:前期1.の(1)の希釈水と同じもの。
- 試験操作
試験液は1平板に30~300個の集落が得られるように希釈度を選択する。同一段階希釈の試料に対して滅菌ペトリざら(径9~10㎝、高さ1.5㎝)2枚以上を用意する。滅菌ピペットでそれぞれの希釈液1mlずつを正確に取り、あらかじめ加熱溶解して約50℃に保持した標準寒天培地約15mlを加え、静かに回転あるいは前後左右に傾斜してよく混和し、冷却凝固させる。試料をペトリざらに取ってから培地に注加するまでに、20分間以上を経過してはならない。
培地が凝固したら、これを倒置して35~37℃のふ卵器で48±3時間培養したのち、発生した集落数を計測する。1平板30~300個のもの、又は拡散集落があっても、それが平板の集落の2分の1以下で、ほかの集落がよく分散しており、算定に支障のないものを選び出し、コロニーカンターを用いて集落数を計測し、平板の集落数とする。2枚以上を培養したときはその平均を集落数として、それぞれの希釈倍数を乗じた数を生菌数とする。この場合、高位から3桁目を四捨五入して、2桁のみを記載し、それ以下は0を付ける。
- 装置、器具
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かびの計測方法
- 測定方法
外観及び風味についての官能検査を担当するパネラーの目視により、かびの発生の有無を測定する。
- 過半数のパネラーがかびの発生を認めたときは、発生したものと判定する。
- 測定方法
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酸価及び過酸化物価の分析測定方法
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試料の調製
- 試薬、試液
- 精製エーテル:市販の過酸化物価測定用エーテル又はエーテルを次のように精製して用いる。
適量のエーテルを分液ロートに取り、これに用時調製した2%硫酸第一鉄溶液をエーテルの約1/5の容量加え、よく振り混ぜた後、水層を捨てる。この操作を2%硫酸第一鉄溶液の水層が黄褐色を呈しなくなるまで数回繰り返す。次いで、エーテルの約1/5容量の水で2~3回洗った後、エーテル層を分取し、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水する。脱水後、エーテルを蒸留フラスコに移し蒸留する。初留は捨て、全量の約8/10容量を取り、褐色ビンに入れ、水酸化ナトリウムの粒及び硫酸第一鉄の結晶を数個入れ密栓し、冷暗所に貯蔵する。
- 油脂の抽出
- ① ショートニング、精製ラード、食用精製加工油脂及びその他食用加工油脂(成分が油脂のみのもの。)
検体をそのまま試験用試料とする。 - ② マーガリン類及びその他の食用加工油脂(副成分に油脂以外のものを含むもの。) 試料(酸価及び過酸化物価の試験を行うのに必要な油脂が得られる量)を三角フラスコに取る。これに3~4倍の精製エーテルを加え、ときどき振り混ぜながら10~15分間放置する。不溶物が流出しないようにろ紙を用いてろ過し、さらにフラスコ中の検体に精製エーテルを先の1/2量加えて振り混ぜた後、同じろ紙を用いてろ過する。ろ過した両液を分液ロートに移す。これに1/2~1/3容量の水を加えてよく振り混ぜて洗い、水層を捨てる。この操作を2回繰り返した後、エーテル層を分取する。分取したエーテル層を無水硫酸ナトリウムで脱水した後、窒素又は二酸化炭素を通じながら水温40℃以下の水浴上でエーテルを完全に除去し、残留物を試料とし、速やかに測定する。やむを得ない場合は残留物を密栓できる容器に入れ、窒素で置換後、氷室中で保存する。
- ① ショートニング、精製ラード、食用精製加工油脂及びその他食用加工油脂(成分が油脂のみのもの。)
- 試薬、試液
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酸価の測定
- 試薬、試液
- 溶剤:エタノールとエーテルを混合(1:1)し、使用直前にフェノールフタレイン指示薬を加え、0.1N-水酸化カリウム・エタノール標準液で中和しておく。
- 0.1N-水酸化カリウム・エタノール標準液:水酸化カリウム7.0gを水5mlに溶かし、95v/v%エタノールで1,000mlとし、炭酸ガスを遮り2~3日放置した後、ろ過して耐アルカリ性のビンに保存する。0.1N-塩酸標準液でファクターを定める。
- フェノールフタレイン指示薬:フェノールフタレイン1gを95v/v%エタノール100mlに溶かす。
- 試験操作
試料約10gを精密に量り取り、共栓フラスコに入れてエタノール・エーテル混液100mlを加えて溶解する。これにフェノールフタレイン指示薬を加え、0.1N-水酸化カリウム・エタノール標準液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを終点とする。
酸価=(5.611×A×f)/B
A:0.1N-水酸化カリウム・エタノール標準液の滴定量(ml)
f:0.1N-水酸化カリウム・エタノール標準液のファクター
B:試料の採取量(g)
- 試薬、試液
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過酸化物価の測定
- 試薬、試液
- 溶剤:クロロホルム・氷酢酸混液(2:3)
- ヨウ化カリウム:煮沸して炭酸ガスを追い出した水にヨウ化カリウムを飽和させる。過剰の不溶解の結晶が溶液中に残るようにして、暗所に貯える。
- 0.01N-チオ硫酸ナトリウム標準液:0.1N-チオ硫酸ナトリウム標準液(市販品でファクターの明らかなもの)を、用時炭酸ガスを含まない水で正確に10倍希釈し、0.1N-チオ硫酸ナトリウム標準液のファクターをそのファクターとする。
- デンプン指示薬:可溶性デンプン1gに少量の水を加え、均一なペースト状にし、激しく掻き混ぜながら熱水100mlに加える。さらに数分掻き混ぜながらわずかに煮沸して透明にしたのち、冷却し、ろ過して冷暗所に保存する。
- 試験操作
試料約5gを精密に量り取り、共栓フラスコに入れてクロロホルム・酢酸混液35mlを加えて溶解する。均一に溶解しないときは、さらにクロロホルム・酢酸混液を適当に加える。フラスコ内の空気を窒素又は二酸化炭素で置換し、窒素又は二酸化炭素を通じながら飽和ヨウ化カリウム溶液1mlを加え、直ちに共栓をして約1分間振り混ぜた後、暗所に常温で約5分間放置する。これに水75mlを加え、激しく振り混ぜた後、デンプン指示薬を加えて、0.01N-チオ硫酸ナトリウム溶液で滴定する。別に同様に操作して空試験を行い補正する。
過酸化物価(meg/Kg)=(a×F)/S
a:試料の採取量
F:0.01N-チオ硫酸ナトリウム溶液の消費量(ml)
S:0.01N-チオ硫酸ナトリウム溶液のファクター
- 試薬、試液
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外観及び風味の測定方法
- パネルの構成
当該食用加工油脂製品の品質管理に携わっている人3~5名によるパネルを構成し、官能検査を行う。
- 品質測定項目
各品目別に、次の表の○印を付した項目について測定し、評価する。
品 目 外 観 風 味 色 調 組織・乳化の状態 味 臭 い マーガリン類 ○ ○ ○ ○ ショートニング ○ ○ ○ ○ 精製ラード ○ ○ ○ ○ 食用硬化油 ○ ○ ○ ○ 食用分別油 ○ ○ ○ ○ 食用エステル交換油 ○ ○ ○ ○ その他 加水加工油脂 ○ ○ ○ ○ 無水加工油脂 ○ ○ ○ ○ フライ用加工油脂 ○ ○ ○ ○ 非加熱使用加工油脂 ○ ○ ○ ○ 加熱使用加工油脂 ○ ○ ○ ○ - 評価のポイント
- 色調:当該製品に固有の鮮明な色調と比較して、濁り、色むら等の退色がないか。
- 組織・乳化の状態:組織むら、油脂と水分の分離等の品質の低下がないか。
- 味:味の低下又は異味の発生がないか。
- 臭い:油脂の酸化臭、風味原料に由来する異臭等の発生又はフレーバーの低下はないか。
- 評価方法
製造直後の状態を「良」とし、次の表の尺度を用いて絶対評価法で行う。
評価の尺度 備 考 良 2 製造直後の状態又はこれと同等の状態 やや良 1 良好な状態 普通 0 やや低下 -1 終期と見做すべき状態 低下 -2 - 測定成績の決定
各パネラーの評価の尺度に係る数値を用いて平均値を求め、これを次の表に当てはめて測定成績を決定する。この場合において測定成績が「やや低下」又は「低下」となったときは、当該分析試験時点の直前の分析試験時点を終期とする。
平 均 値 測 定 成 績 1.5以上 良 0.5以上1.5未満 やや良 -0.5以上0.5未満 普通 -1.5以上-0.5未満 やや低下 -1.5未満 低下
- パネルの構成
以 上