食用加工油脂製造事業者の物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画

日本マーガリン工業会

日本マーガリン工業会(以下「当工業会」という。)は、今後、物流の効率化を推進し、食用加工油脂の円滑かつ安定的な供給を持続的なものとしていくため、令和5年6月に策定された「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン(3省庁連名)」(以下「3省庁ガイドライン」という。)等を踏まえ、当工業会の会員企業が取り組む「食用加工油脂製造事業者の物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画」を以下の通り策定します。

なお、この自主行動計画は、必要に応じ、見直すこととします。

  1. 1.発荷主事業者・着荷主事業者に共通する取組事項(実施が必要な事項)

    • 物流業務の効率化・合理化

      • ① 荷待ち時間・荷役作業等にかかる時間の把握

        入出荷に係るトラック及びローリーの入退場時刻を記録するとともに、入荷に係る荷待ち時間及び荷役作業等(荷積み・荷卸し・附帯業務等)にかかる時間を把握するよう努めます。

        ※荷待ち時間とは、集貨又は配達を行った地点(集貨地点等)における到着日時から出発日時までの時間のうち、荷役作業等(荷積み、荷卸し、附帯業務等)及び休憩に係る時間を控除した時間(待機時間)をいいます。

        ※附帯業務とは、貨物の荷造り、仕分、保管、検収及び検品、横持ち及び縦持ち、棚入れ、ラベル貼り、はい作業その他の運送事業に附帯して一定の時間、技能、機器等を必要とする業務をいいます。

        ※運送、荷積み及び荷卸しは発荷主事業者の業務、一方、附帯業務は着荷主事業者の業務との考え方で対応します。なお、荷卸しは、車上渡しが基本の考え方となります。

        ただし、ローリーによる納品においては、送液ラインを受入れ設備に接続してローリー側のポンプを稼働させ、送液完了後に送液ラインの接続を解除・撤収するまでの作業を荷卸しと考えます。

      • ② 荷待ち・荷役作業等時間の短縮化

        物流事業者の拘束時間の短縮に資するため、物流事業者に対し、長時間の荷待ちや、運送契約にない業務をさせないよう努めます。そのため、事業及び商品形態により、荷役作業等に違いがあることから、先ず現状の実態把握に努めることから着手します。

        また、物流事業者が出荷先で運送契約にない業務を行っている場合には、着荷主事業者に対して、物流事業者に当該業務をさせないよう申し入れを行うよう努めます。

        さらに、物流事業者が貨物自動車運送事業法等の関係法令及び法令に基づく命令を遵守して事業を遂行することができるよう、必要な配慮を行います。

      • ③ 物流管理統括者の選定

        物流の適正化・生産性向上の取組を事業者内において総合的に実施するため、物流業務の実施を統括管理する者(役員等)を選任します。物流管理統括者は、物流の適正化・生産性向上に向けた取組の責任者として、販売部門、調達部門等の他部門との交渉・調整を行います。

      • ④ 物流の改善への協力

        発・着荷主事業者間の商取引契約において、物流に過度な負担をかけているものがないか検討し、改善するよう努めます。また、取引先や物流事業者から、荷待ち時間や運転者等の手作業での荷積み・荷卸しの削減、附帯業務の削減あるいは回避等について要請があった場合は、真摯に協議に応じるとともに、取引先や物流事業者とともに対応の検討を行うよう努めます。

    • 運送契約の適正化

      • ① 運送契約の書面化

        運送契約は書面又はメール等の電磁的方法を原則とします。

      • ② 荷役作業等に係る対価

        運転者が行う荷役作業等の料金を支払う者を明確化し、物流事業者に対し、当該荷役作業等に係る適正な料金を対価として支払います。また、自ら運送契約を行わない荷主事業者においても、取引先から運送契約において定められた荷役作業等を確認し、当該荷役作業等が運送契約にないものであった場合も、発・着荷主事業者間で料金を支払う者を明確化し、当該者から取引先又は物流事業者に対して別途対価を支払うよう努めます。

      • ③ 運賃と料金の別建て契約

        運送契約を締結する場合には、運送の対価である「運賃」と、運送以外の役務等が発生する場合にはその対価である「料金」を別建てで契約することを原則とします。

      • ④ 燃料サーチャージの導入・燃料費等の上昇分の価格への反映

        物流事業者から燃料サーチャージの導入について相談があった場合及び燃料費等の上昇分や高速道路料金等の実費を運賃・料金に反映することを求められた場合には協議に応じ、コスト上昇分を運賃・料金に適切に反映するよう努めます。

      • ⑤ 下請取引の適正化

        運送契約の相手方の物流事業者(元請事業者)に対し、下請に出す場合、①から④までについて対応することを求めるとともに、多重下請構造が適正な運賃・料金の収受を妨げる一因となることから、特段の事情がなく多重下請による運送が発生しないよう留意します。

    • 輸送・荷役作業等の安全の確保

      • ① 異常気象時等の運行の中止・中断等

        台風、豪雨、豪雪等の異常気象が発生した際やその発生が見込まれる際には、無理な運送依頼を行いません。また、運転者等の安全を確保するため、運行の中止・中断等が必要と物流事業者が判断した場合は、その判断を尊重します。

      • ② 荷役作業時の安全対策

        荷役作業(特に、ローリーの荷積みおよび荷卸し)を行う場合には、労働災害の発生を防止するため、安全な作業手順の明示、安全通路の確保、足場の設置、安全帯設備の設置等の対策を講じるなどにより一層の安全対策に取り組みます。また、事故が発生した場合には、関係者協議の上、適切に対応するよう努めます。また、出荷先での安全確保について、物流事業者より改善の要請があった場合は、改善に向けた交渉を適時実施するよう努めます。

  2. 2.発荷主事業者・着荷主事業者に共通する取組事項(実施することが推奨される事項)

    以下の事項に関しては、事業者毎の実状及び「3省庁ガイドライン」を考慮して、事業者毎に取り組みます。従って、事業者毎に取組項目に違いがあることを想定しています。

    • 物流業務の効率化・合理化

      • ① 予約受付システムの導入

        トラック及びローリーの予約受付システムの導入について適宜検討を行います。

      • ② パレット等の活用

        パレット、カゴ台車、折りたたみコンテナ、通い箱等の活用を検討します。また、レンタルパレットや他社が所有するパレット等を活用する場合には、本来の目的以外で使用せず、使用後は所有者等に適切に返却します。

      • ③ 入出荷業務の効率化に資する機材等の配置

        フォークリフト作業員待ち等の荷待ち時間が発生しないよう、適正な数のフォークリフトやフォークリフト作業員等、荷役に必要な機材・人員を配置するよう努めます。また、入出荷業務の効率化を進めるためデジタル化・自動化・機械化に取り組みます。

      • ④ 検品の効率化・検品水準の適正化

        検品方法(納品伝票の電子化、検品レス化、サンプル検品化、事後検品化等)や返品条件(輸送用の外装段ボールの汚れ、擦り傷があっても販売する商品に影響がなければ返品しない)等の検品の効率化・検品の適正化を推進し、返品に伴う輸送や検品に伴う拘束時間の削減に努めます。

        また、ローリーによる納品においては、ローリーからのサンプリング及び受入検査による荷待ち時間を短縮するため、事前採取サンプルによる受入検査への変更を検討します。

      • ⑤ 物流システムや資機材(パレット等)の標準化

        パレットの規格等について標準化を検討します。

        パレットの活用に当たり、これからパレット化を図る荷主事業者は、平面サイズ1,100mm×1,100mm のパレットの導入を優先的に検討します。パレット化実施済みの荷主事業者がパレット標準化を行うに当たっては、取り扱う製品等に留意しつつ、平面サイズ1,100mm×1,100mm のパレットの採用を検討します。

      • ⑥ 輸送方法・輸送場所の変更による輸送距離の短縮

        輸送方法・輸送場所の変更による輸送距離の短縮を検討します。

      • ⑦ 共同輸配送の推進等による積載率の向上

        共同輸配送の推進等による積載率の向上を検討します。

      • ⑧ 納品期限の緩和

        効率的な物流の実現のために、出荷先に対して納品期限の緩和の働きかけを行います。また納品期限の緩和を実施しやすくするために、賞味期限の延長についても検討します。

    • 運送契約の適正化

      • ① 物流事業者との協議

        運賃と料金を含む運送契約の条件に関して、物流事業者との協議を適宜行います。

      • ② 高速道路の利用

        トラック運転者の拘束時間を削減するため、高速道路の積極的な利用を提案します。また、物流事業者から高速道路の利用と料金の負担について相談があった場合は、協議に応じます。

      • ③ 運送契約の相手方の選定

        契約する物流事業者を選定する場合には、関係法令の遵守状況を考慮するとともに、働き方改革や輸送の安全性の向上等に取り組む物流事業者を積極的に活用します。

  3. 3.発荷主事業者としての取組事項 (実施が必要な事項)

    • 物流業務の効率化・合理化

      • ① 出荷に合わせた生産・荷造り等

        荷役作業の効率化と荷役時間の短縮を目的として、出荷時の順序や荷姿を想定した生産・荷造り等に取り組むよう努めます。

      • ② 運送を考慮した出荷予定時刻の設定

        トラック運転者が輸配送先まで適切に休憩を取りつつ、運行することが可能なスケジュールが組めるよう努めます。

  4. 4.発荷主事業者としての取組事項 (実施することが推奨される事項)

    以下の事項に関しては、事業者毎の実状及び「3省庁ガイドライン」を考慮して、事業者毎に取り組みます。従って、事業者毎に取組項目に違いがあることを想定しています。

    • 物流業務の効率化・合理化

      • ① 出荷情報等の事前提供

        貨物を発送する場合に、物流事業者や着荷主事業者の準備時間を確保するため、出荷情報等の早期提供を進めます。これは、納品リードタイムの確保とセットで推進します。

      • ② 物流コストの可視化

        物流コストの可視化を検討します。

      • ③ 発荷主事業者側の施設の改善

        荷待ち・荷役作業等の時間の削減に資するよう、倉庫等の物流施設の集約、新設・増設、レイアウト変更等、必要な改善を実施します。

      • ④ 混雑時を避けた出荷

        物流事業者と協議し、道路が渋滞する時間や混雑時間を避け、出荷時間の分散に努めます。

      • ⑤ 発送量の適正化

        荷待ち時間を削減するとともに運行効率を向上させるため、着荷主事業者と協議し、日内波動(例.朝納品の集中)や曜日波動、月波動などの繁閑差の平準化や、隔日配送化、定曜日配送化等の納品日の集約等を通じて発送量の適正化に努めます。

  5. 5.着荷主事業者としての取組事項 (実施が必要な事項)

    • 物流業務の効率化・合理化

      • ① 納品リードタイムの確保

        発荷主事業者や物流事業者の準備時間を確保し、輸送手段の選択肢を増やすために、発注から納品までの納品リードタイムを十分に確保するよう努めます。

  6. 6.着荷主事業者としての取組事項 (実施することが推奨される事項)

    以下の事項に関しては、事業者毎の実状及び「3省庁ガイドライン」を考慮して、事業者毎に取り組みます。従って、事業者毎に取り組み項目に違いがあることを想定しています。

    • 物流業務の効率化・合理化

      • ① 発注の適正化

        荷待ち時間を削減するとともに運行効率を向上させるため、日内波動(例.朝納品の集中)や曜日波動、月波動などの繁閑差の平準化や、適正量の在庫の保有、発注の大ロット化等を通じて発注の適正化に努めます。

      • ② 着荷主事業者側の施設の改善

        荷待ち・荷役作業等の時間の削減に資するよう、倉庫等の物流施設の集約、新設・増設、レイアウト変更等、必要な改善に努めます。

      • ③ 混雑時を避けた納品

        発荷事業者や物流事業者の要請に応じ、混雑時を避け、納品時間を分散させられるよう納品スケジュールの見直しに努めます。

  7. 7.その他

    上記1.から6.までの取組に加えて、新たな課題が生じた場合には、当工業会の資材委員会等の場で十分検討し、会員の合意を得た上で、対応することとします。

以上