マーガリン研究発表
アブラ・カタブラ
PHOTO 私たちの学校『伊志田高等学校』は神奈川県の中央部、伊勢原市にあります。ここでは、梨・柿・苺等の果物や椎茸・シメジ・地酒や大山豆腐、大山菜、キャラブキなど、一年を通して数多くの特産物があります。これらの特産物を利用して私たちは活動しました。
はじめに
今回の栄養改善普及会の研究は、放課後や夏休み等、毎日の様に集まり研究を進めてきました。
当初、私たちはこの『マーガリン』という食品に対して不安で一杯でした。
何故なら「パンに塗る以外に使えないただの油の塊」「バターの代用品」と、興味も知識もなかったからです。
しかし、私たちは「未知なる食品という事は新しい使い道があるのではないか」と、考え直しました。
研究を進めていくにつれ、その隠された特性が分かっていきました。
それはバターとの違いであり、ただの油の塊ではありませんでした。その特性は、味・栄養面・使用目的に合わせ様々な広がりを見せる、マーガリンの魔法の力だったのです……!

研究活動
私たちはまず本やインターネット、スーパーや工場の方の話・資料でマーガリンについて調べました。

市場調査から、家庭用マーガリンが最も売れている事がわかりました。例えば『〜ソフト』という商品名では『柔らかい・塗り易い』、『植物性』という表示には『動物性と違って身体に良い』というイメージから来るのではないかと私たちは考えました。
他にもバターより低価格で売られていた事が理由に挙げられます。
この為、昭和30〜40年代にマーガリンの売上げはバターを抜きました。しかし製菓用では現在もバターが主流です。これはバターの風味・コクがお菓子にあっているという事でしょう。
いずれにしてもマーガリンの方が売れているという事は、消費者にとって何かプラスの効果があるのです。
マーガリンは油脂なので、食べ過ぎるとカロリーが高いので太ります。
自然界に存在しない脂肪(トランス型脂肪(注))も含まれているので、食べ過ぎると体内で消化しきれず細胞膜を弱らせ、病気を引き起こす事があります。しかしカロリーが高いという事は効率的にエネルギーを得られるという事です。更に、必須脂肪酸という、体内では作られず食物から必ず摂取しなければならない栄養素も含まれています。つまり、マーガリンは適度に摂ることが大切なのです。また、融点が低いので分離し易い事に注意すれば、混ぜ易くお菓子作りに適しています。
次にバターとの違いを調べた結果、バターは牛乳を遠心分離してできたクリームで作られています。マーガリンは色々な動物・植物油脂で作られています。製造工程は、まず精製した油脂を硬化油にし、食用色素・乳化剤・水分・ビタミンなどを加え、練り合わせて作ります(図1)
つまりバターは牛乳の栄養のみを含むのに対して、マーガリンは上記の副原料、またはそれ以外の様々な栄養を加える事ができます。更に原料の油脂を色々変える事によって、使用目的に合わせたマーガリンができます。例えば製菓用マーガリンやパンに塗り易く加工したファットスプレッド等は既に市販されています。他にバターよりも味があっさりしている為老人には好まれ、若者には物足りないという点がありますが、これは副原料に牛乳や脱脂粉乳、クリーム、発酵乳を加える事により、バターに近いまろやかな味を出す事もできます。そうする事により乳化性が向上して酸化防止の効果も上がり、添加物を減らす事もできます。
また、多くのマーガリンは植物油にはないビタミンAを強化していますが、その他のビタミンも、それを多く含む食品を一緒に摂る事で補う事ができます。

つまり、マーガリンは『機能性食品』として目的に添った物を作り出す事ができる食品です。将来は個人の体調や好みに合わせてマーガリンを作る事も可能でしょう。

普及活動
5月、マーガリン工場を見学して工場の方々の話や資料を元に知識を深めました。校内では栄養改善普及会の冊子にあった『10のチェックポイント』を参考に、生徒の食生活とマーガリンの知識のアンケートを行いました。すると海藻や特産物の豆、マーガリンをあまり食べていない事がわかりました。そこでマーガリンの食べ方を考えたところ「特産物と上手に食べられないか」と考えました。

7月、伊勢原市食生活改善推進団体の方に特産物の豆腐の作り方を教わりました。この活動は新聞やラジオで大きく取り上げられました。おからをマーガリンで炒めて『卯の花あえ』を作ってみたら、従来のサラダ油で炒めた方が美味しかったのでマーガリンは和食に合いにくいと感じました。次に、豆腐以外の特産物を知る為、市役所や農協を訪問しました。

夏休み、近くの保育園に行き、栄養改善普及会の勧める三色運動を普及しました。内容はわかり易く劇にし、小道具・三色運動の図や園児に渡すお菓子作りは、一学期から取り組みました。お菓子は生地におからを混ぜ、製菓用マーガリンを使い、三色の食品が含まれた梨のカップケーキを作りました。最初はおから・梨の水分を計算に入れなかった事やマーガリンの融点の低さに慣れていなかったせいでベタベタして美味しくありませんでしたが、試行錯誤の結果、バターを使った物と変わらず美味しい物ができ、園児や保育士さんにも好評でした。作り方もシンプルなので、オープンスクールでは中学生と一緒に作り、クイズを通してマーガリンや三色運動の普及をしました。

文化祭では今迄調べたマーガリン・三色運動・特産物の展示発表や、オリジナルレシピや三色運動のポスター・生徒の健康状態を考えたお菓子を無料配布し、アンケートを行いました。お菓子はマーガリンに不足しているビタミンを考えた梨のカップケーキ・足柄茶を混ぜたお茶のクッキー・きな粉のクッキーでした。特にクッキーは思春期の女子に不足している鉄分と、本校男子に不足しているカルシウムを考えたお菓子です。

10月、伊勢原市観光道灌祭りにも参加し、展示発表とアンケートを行いました。 風船や輪投げで地域の人々と交流しながら、子どもから老人まで幅広い年齢の方に栄養とマーガリンについて知って頂きました。 家庭で使用している油脂についてのアンケート結果は市場調査にも通じ、家庭用ではマーガリンの方が売れている事がわかりました。

11月、富岡ホームという老人ホームを訪問し、マーガリン・特産物・三色運動の事をクイズや図を使って普及しました。お菓子は柿のカップケーキでした。梨のカップケーキは三色の食品を含んでいますが、梨は栄養が少なく殆どが水分、対して柿はマーガリンに不足しているビタミン類・食物繊維が豊富にあり、鉄・カルシウムもあります。使用した特産物の富有柿は甘柿ですが、オーブンの熱で渋が出てしまうので、最初に電子レンジで加熱して渋を抜き、甘みを引き出す方法を取りました。柿のカップケーキは柿の味があまりしませんでしたが、ふっくら・サクサクに焼き上がり、柿はマーガリンの油分でまろやかになり、今迄で一番の出来でした。この他にお茶をすって口当たりを良くしたお茶・きな粉のクッキーを食べていただきました。
このマーガリンと味も栄養も良く合う柿をジャムにもしました。このジャムはレモン汁の入れ具合でマーマレードのような味にも変化するので好みに合わせることもできます。マーガリンと重ねてパンに塗って食べると、美味しく最も手軽に不足した栄養を摂取する事ができます。この『柿ジャムマーガリン』はマーガリンが普通の物と無塩の物では味が違うので、校内で試食会を行い、それぞれ食べ比べてもらいました。これにはたくさんの生徒が部活動の合間を縫って来て、「どちらも美味しい」「意外に合っていて驚いた」等の感想をもらいました。

まとめ

この様に、これ迄のマーガリンや特産物の普及活動を通して、地域の人々と多くの交流を持つ事ができました。伊勢原市食生活改善推進団体の方に協力して頂いた豆腐作りでは豆腐に含まれている栄養素について教えて頂き、とても良い経験になったと思います。また、道灌祭りでは普及活動が認められ、乳幼児の母親の団体(ハッピーキッズ)に講義の依頼を受ける等、今後の活動の道が開けました。
マーガリンについては、色々な用途に合わせて変化できる事や、栄養としても必須脂肪酸があり、他の食品との組み合わせによりビタミン等多くの栄養を摂取できる事から病気の予防が出来る、即ち健康に良い食品である事を新たに発見し、理解を深める事ができました。

今こうして『栄養改善普及会・マーガリン研究班』として活動してきた事は、少しずつですが多くの方に理解して頂けたと確信しています。これからもマーガリン新聞の発行・試食会等の校内での普及活動やハッピーキッズを含め地域への普及活動を通して、より多くの人に食物や食生活についての正しい知識とマーガリンの良さを知って頂きたいと思います。そして、どこの家庭にも毎朝の食卓に並べてもらえる様に、普及活動をしていきたいと思います。
近い将来『グッドモーニング!マーガリン』と言われる様な社会を目指して。

注:日本マーガリン工業会
トランス脂肪酸は自然界にも存在します。乳や乳製品、反すう動物の脂肪中に4〜5%含まれています。

●活動推進者●
 佐野敦士 田中嘉重 織田智子 新田祥子 小松菜穂子 幾田友美
 横山百合子 栗原健治 山崎智子 兼子武典 関根茜 石田拓也
(指導:中川美香)

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